全国各地の医療安全支援センターにおける、さまざまな活動を紹介します。
相談能力向上のための研修資料作成プロジェクトチーム (PT)
【その3】PTメンバーからのヒアリングレポート ~A市医療安全支援センターを訪問して~
11月初旬に研修資料作成プロジェクトチーム(以下PT)の活動として、A市医療安全支援センター(以下A市センター)を訪問してきました。訪問の目的はA市センターの医療機関向け研修の企画支援です。A市センター担当者の医療機関との情報共有の場を作りたいという想いを支援しようという試みでした。
A市センターは医事薬事係で医療安全相談を受けており、センター担当のBさんは看護職で、担当されてから6年目の方です。
Bさんは、日頃、市民の方から相談を受けている中で、医療機関の患者相談窓口担当者に連絡、協議を重ねても又同じような内容の相談を受けることが少なからずあるとのことで、協議が活かされていないのではと感じていました。そして、センターからの連絡が医療機関のどの部署まで通達され、院内でどのように活用されているのか疑問を持つようになりました。いつからか、医療機関への情報提供を意味あるものにしたい、そんな想いが湧いてきました。
Bさんの想いは、恐らく全国の医療安全支援センター担当者に共通する想いではないでしょうか。私が担当していたC市医療安全支援センター内の医療機関でも同じ様な問題があり、医療機関内で患者さんからの相談がどのように処理されているのかをアンケートをしてみました。医療機関内で患者さんからの苦情に対応する部門はどこか、対応する職員は誰か、その職員は専任か、経験年数は、相談の集計・分析はしているか等。
その結果、多くの医療機関では専任の相談員はおらず、相談・苦情の集計はしていても分析はしていないことが分かりました。医療機関によっては、組織として対応していないため、苦情対応に協力が得られず悩んでいる相談担当者が少なからずいることが分かりました。
そこで、医療機関の患者相談担当者との連絡会を開催して、以後情報交換や事例検討をはじめました。回を重ねる毎に、医療機関側のニーズを把握することの困難さと、行政側のニーズを企画に反映することの難しさを感じるようになっていますが、その課題と向き合うことも意味のあることだと思っています。
その経過をBさんにお伝えしたところ、Bさんも医療機関の患者相談担当者との連絡会開催にむけて動き出してみることになりました。まずは課内の協力をえるためにも、A市の医療機関の現状をアンケート調査から始めるとのことです。
A市を訪問の当日、医事薬事係の大半の方はセンター外での業務に出ておられ、週の半分以上はそのような状態であるとのことでした。そのような多忙をきわめる中でも熱意をもって現状の改善を図っているBさんの姿をみて、心強く思いました。又、恐らく全国の医療安全支援センター担当者の方がたも同じ様な想いで日々業務にあたられているのでは、との想いを抱いて帰路につきました。