全国各地の医療安全支援センターにおける、さまざまな活動を紹介します。
2014年度 ブラッシュアップ研修報告 ~京都編~
2014年7月29日、京都でブラッシュアップ研修を開催しました。
ブラッシュアップ研修は支援センターでの相談対応スキルアップと相談員さんの交流を目的とした研修で、ささえあい医療人権センターCOMLと共同で企画しているものです。
今年で3年目を迎えたブラッシュアップ研修。暑い京都で熱い研修が行われました。
■山口さんの講義
研修の前半はCOML理事長、山口育子さんによる講義です。山口さんは初任者研修でも講義をしてくださっていますが、ブラッシュアップ研修での講義はより実践的な内容です。医療費のことや薬のこと病院との交渉方法など、かゆいところに手が届く講義で、しかも分かりやすく話してくださいます。相談の際の引き出しは確実に増えたのではないでしょうか。
情報量がとても多く、一度に全てを飲み込むことは難しいかもしれませんが、今回の講義が相談業務に必要な情報を収集していくきっかけになればと思います。
■ロールプレイ
午後はロールプレイです。3人1組になってそれぞれが相談者役、相談員役、観察者役に分かれて模擬相談を行います。ロールプレイでは実際の電話相談と同じように相手の表情を見えないようにするため、相談者と相談員の間に旗を垂らします。
ロールプレイ後の振り返りでは相談者や客観的な第三者の立場からのアドバイスをもらうことができます。
まず見本となる方を選んで、代表で皆の前でロールプレイをしてもらいました。
その後はグループでのロールプレイ。各役をそれぞれ1回ずつ、計3回のロールプレイをします。事例も今回のブラッシュアップのために新しく作りました。事案を正確に把握し、さらに相談者が本当は何を訴えたいのか感じることが難しかったのではないかと思います。
今回でブラッシュアップ研修も3年目ということもあり、ロールプレイの振り返りでは例年になく鋭い指摘や忌憚のない意見が飛びました。
例えば、「相談員は共感できていた」といったぼやっとしたコメントではなく「○○といった言葉があったので、相談員に分かってもらえたと感じた」といった具体的な指摘がなされていました。
また「病院の対応の悪さに同調してほしかったのに、事実確認をされて“違う”と思った」など、鋭くはっとさせられる意見も出されました。
こういったコメントから細部まで配慮できる力、センターの相談支援力を実感しました。
相槌や共感の仕方など、普段はできているつもりでも、客観的に見れば不十分なところもあります。そういった部分への指摘はロールプレイならではです。
振り返りではどのグループも時間が足りないくらい話が弾んでいました。
■感想
休憩をはさんで6時間にも及ぶ研修でしたが、中身が濃くあっという間に感じられました。
参加者からは
「悩みの共有ができた」
「どのような知識が足りないか、必要なのか知ることができた」
「相談者の気持ちが分かった」
「相談時の客観的なアドバイスがもらえた」
「他の相談員が行っているちょっとしたテクニックやコツを教えてもらった」
といった感想を頂きました。
さて、東京でのブラッシュアップ研修は9月25日です。まだまだ参加受付中です。
「ロールプレイ」と聞くと、躊躇してしまう方もいらっしゃるかもしれません。しかし例年、最初はおずおずロールプレイをしていた人でもしだいに熱が入ってきて、最後には充実した表情になって帰っていかれます。この充実感は参加してみないと実感できないものです。
相談支援のスキルアップをするには実践が一番大事ですが、自分の相談している姿を見て、指摘してもらえるのはロールプレイでしかできません。つまりセンターでの相談スキルの向上のためにはロールプレイをするしかないといえます!
ブラッシュアップ研修にぜひご参加ください!!