全国各地の医療安全支援センターにおける、さまざまな活動を紹介します。
大阪府「医療相談全体研修」報告
2014年6月9日、大阪府の医療相談支援センター(医療安全相談窓口)の相談員への研修がおこなわれました。場所は大阪港を一望できる大阪府咲洲庁舎で、大阪府内の18保健所(保健所設置市保健所を含む)及び本庁の相談コーナーから20名以上の相談員が参加しました。
■研修の様子
はじめに研修内容のオリエンテーション、続いて相談員として必要なスキルについての説明があり、その後ロールプレイを行いました。ロールプレイは相談員役、相談者役、観察者役の3役に分かれ、それぞれの立場から医療相談を体感できるように工夫されています。このようにすることで、普段の業務とは異なる視点から医療相談を見直すことができるからです。
最初に模擬として会場前方で実際にロールプレイをしてもらいました。
その振り返りでは様々な意見が出され、相づちの打ち方や情報の引き出し方など、客観的に観察することで初めて見えてくることについて参加者から指摘がありました。また、特に相談員が出来ること・出来ないことをいつ相談者に伝えるべきかという点について、相談員によって考え方が違うことが分かりました。
その後、いよいよ全員参加でロールプレイ。3人1組になって、それぞれの役を各自1回ずつ演じました。ロールプレイをするにあたり、最初に「相談者は役になりきってください」とお願いしました。「大事なことは細部に宿る」というようにロールプレイの効果は細かい所まで演じてもらうことで高まります。そのため、ロールプレイでは事例だけではなく、相談者がどのような性格なのかといったことまで事前にお伝えし、役を作ってもらいました。また相談者と相談員との間に旗を立て、実際の電話相談と同じように相手の表情が分からない状態で相談をしてもらいました。
実際のロールプレイでは多くの参加者の方が役になりきって参加してくれたように思います。
白熱して時間内では終わらずに時間が足りないとおっしゃっているグループもありました。早くに相談を終えてしまうグループもあり、相談者の立場になりきることの難しさも実感しました。
それぞれのグループの振り返りでは、「こういうときはどうする?」といった相談員同士の意見交換が活発に行われていました。
■研修を終えて
個別のロールプレイを行った後、最後に全体のまとめがありました。
参加者からは、
「相談者と相談員の間でコミュニケーションはとれているが、本当に伝えたいことがそれぞれ伝わっていない」
「中立的立場であるということの重要性を再確認した」
「普段は相談者の立場に入り込んでしまうが、冷静に観察できた」
といった感想が聞かれました。
最初は硬い表情で参加していた相談員の方々もロールプレイが進むにつれ、熱が入っていき、終わるころには充実感が漂っているのが印象的でした。ロールプレイで得た視点や他の相談員から聞いた情報を日々の相談に活かしていただければと思います。