医療安全支援センターでは、国民の皆様の医療に関する心配や相談をおうかがいしています。

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全国各地の医療安全支援センターにおける、さまざまな活動を紹介します。

2016年度 医療安全支援センター実践研修報告〜東京編〜

2016年10月11日に東京で実践研修を実施しました。
今年の実践研修は、前半では例年同様に医療機関の安全、相談支援に関する取り組みや医療安全支援センターに寄せられる相談に関係する連携機関の活動を知る時間、後半は、「医療の課題」と「患者の課題」について考える時間にしました。
現場の関心も高く、参加者は、医療安全支援センター職員、医療機関の安全管理部門や相談対応部門のスタッフ合わせて193名になりました。講義の内容を少しだけ、支援事業事務局によりリポート致します。

■『医療安全施策の動向』
講師:中嶋美和氏(厚生労働省医政局総務課医療安全推進室)

医療安全施策の全般の説明がありましたが、注目すべき動向として昨年から施行された医療事故調査制度についての説明と美容医療サービスに関して、医療機関のホームページの情報提供の適正化、事前説明・同意の適正化、苦情相談情報の活用についての取り組みについてお話しがありました。

■『医薬品副作用被害救済制度について』
講師:長由美子氏((独)医薬品医療機器総合機構健康被害救済部)

医薬品副作用被害救済制度の実施機関である独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)では、医薬品等の副作用・感染による健康被害の救済、医薬品・医療機器の有効性・安全性・品質の審査・調査、医薬品・医療機器の安全対策の業務を行っています。 救済制度には、医薬品副作用被害救済制度、生物由来製品感染等被害救済制度があり、いずれも健康被害者の迅速な救済を行うことを目的とした制度です。制度の認知度が低いため、制度が使われなかったり、制度が正しく理解されてないことが課題のようです。

■『医療事故調査制度について』
講師:後信氏(公益財団法人日本医療機能評価機構 執行理事/九州大学病院医療安全管理部 教授・部長)

医療事故調査制度の概要と院内での取り組みについて説明がありました。医療現場では、「医療に起因しない/予期したものと医療に起因する(疑いを含む)/管理者が予期しなかった」という部分の境界について戸惑う声もあるとのことです。しかし、医療安全にとっては大切な制度であるため、今後、グレーソーンを小さくする取り組みが国、現場の両方で求められています。

■『医療ADR』
講師:西内岳氏(西内岳法律事務所 弁護士)

医療ADRは、医療事故紛争の訴訟(法的)手続と当事者間の直接交渉の中間に位置付けられる解決手続きです。医療事故紛争は、民事訴訟による解決には難しい点も多いのが現状で、医療ADRを利用し、和解が成立することが多いとのことでした。

■医療の課題『人口構造の変容と医療政策の課題』
講師:島崎謙治氏(政策研究大学大学院 教授)

地域医療構想や地域包括ケアなどの医療(介護)政策は大きく変貌しています。その背景には、人口構造の大きな変容があり、@質の向上、Aアクセスの確保、Bコスト(効率性)のすべてを兼ね備えた制度の維持は難しくなっています。医療機関の機能分化・集約化、生活を支える医療、多職種連携は望ましいのではなく、必然となってきます。医療現場に持ち込まれる相談には、こういった事情が反映されます。相談対応にあたる人も、医療機関の方も、今後の医療政策の方向性、それに伴う医療提供側の課題、患者の課題を知った上で、医療機関と患者の信頼関係の構築のために適切に対応していくことが求められます。

■患者の課題『医療の選択と決定』
講師:山口育子氏(認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML 理事長)

認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)は、患者の主体的な医療参加と、患者・医療者がそれぞれ半分ずつの役割を担い合う協働する医療“を目指し、さまざまな活動をされている団体です。COMLに寄せられる相談から「患者と医療者の思いのズレ」についてお話がありました。これまで患者から3万件にも及ぶ相談を受けてこられた経験に基づく講義には、強い信念と決意が感じられ、医療安全支援センターや病院の患者相談窓口で日々相談の業務に就いている参加者には、「相談は応えることではなく、聞くこと、聞ききるくらい聞く」との言葉が深く心に残ったようでした。アンケートでは、「患者に理解できる説明をしているようで、そうではなかった。そういう場面を考えさせられた。」、「医療者にとっての常識に患者を合わせてもらっていることが多いと感じた」との反響がありました。

■実践研修への参加のお誘い
研修終了後のアンケートによると、昨秋にスタートした医療事故調査制度について全体的に関心が高いようでした。医療機関の方は、なかなか詳しい話を聞く機会のない、医薬品副作用被害救済制度や医療ADRについて、とても参考になったようです。また、医療安全支援センター・医療機関ともに、現場の実務から離れて、日本の医療政策を大局的に考察し、患者と向き合う姿勢について改めて考えられる機会を得たことは、リフレッシュにもなったようです。
実践研修は毎年秋に2回開催しています。医療安全施策の動向を把握し、さまざまな制度の情報をインプットし、医療や患者をとりまく課題について考えることで、共にスキルアップを図る良い機会となりますので、今後も継続してご参加ください。

以上