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上手な医療機関へのかかり方

耳寄り情報

全国各地の医療安全支援センターにおける、さまざまな活動を紹介します。

横浜市「医療安全研修会」報告

2016年6月23日に、横浜市市民文化会館関内ホールで、横浜市医療安全研修会が開催されました。午後6時半からの開催でしたが、約600名もの医療関係者の方が参加され、熱心に耳を傾けていました。医療安全支援センター総合支援事業事務局からもスタッフが参加したので、リポートをお届けします。

■「障害者差別解消法について」
講師:横浜市健康福祉局障害福祉部障害企画課

2016年4月に施行された「障害者差別解消法(正式名称:障害を理由とする差別の解消の促進に関する法律)」について説明がありました。この法律の目的は、「共生社会」の実現にあり、「行政機関等」及び「事業者」に対して、障害を理由とする差別(障害者差別)の禁止を求めています。「事業者」とは、商業その他の事業を行う者として定義されており、医療機関は事業者に含まれます。この法律における「障害者差別」は、@「不当な差別的取扱い」をすることと、A「合理的配慮」を提供しないことです。
障害者への「合理的配慮」については、厚生労働省が、医療関係事業者向けガイドライン(対応指針)を策定しておりますので、ご確認ください。

『厚生労働省における障害を理由とする差別の解消の推進』

講師の方が、「誤った配慮とならないように障害別の特性を理解し、モニタリングをして確認していくことが必要」と話されていました。 また、横浜市では、障害者差別解消検討部会を設置し、市が行うべき取組みについて検討する機会を設けているそうです。

■「ヒューマンファクターの基礎知識〜医療安全のために〜」
講師:小松原 明哲氏(早稲田大学 理工学術院 創造理工学部経営システム工学科教授)

安定的な医療サービスの提供を妨げる、大きな要素として「ヒューマンファクター(ヒューマンエラー)」があげられます。
小松原先生によると、ヒューマンエラーを防止するためには、@エラーが起きにくい条件整備、A守りやすい手順つくり、Bマニュアルの教育・訓練の推進が必要とのことです。 
そのためには医療機関の中にある「(わかり)にくいもの」「(間違い)やすいもの」を、医療スタッフ及び患者の視点で無くしていく取り組みが必要となります。そして、守りやすい手順をつくる際には、使い手目線で考えることがとても重要で、一方的に決めたことは「面倒くさい」と思われ、きちんと守ってもらえず、裏マニュアルが出来上がってしまいます。本マニュアルを上手につくるには、「守りやすいものか」どうかを評価することが大切です。そして、それを周知する際には、理由とともに指導することで、使い手に腹落ちさせることが肝心であるとのことでした。
また、日頃から「気づき、声に出し、対応する」ことが必要で、気づくためには、頭の隅に「起こりそうなこと」を置いておくと脅威に気づく可能性が高まるとのことでした。そのための、ヒヤリハットやインシデントレポートの活用が必要であると思いました。
講演では、「見えないゴリラ」という心理学の実験の動画を用いて、人間の錯覚について「腹落ち」させられました。他にも人間の記憶の特性として、覚えるのは苦手で、覚えたつもりでも、思い出すことは苦手であり、当たり前のことほど思い出せず、物事の前と後を忘れやすく、確認することを怠ってしまうことを、イラスト等を用いて説明されました。
実際に医療機関等で研修を行う際にも、動画やイラスト等を上手く活用して、まずは人間の特性を理解してもらうことが、その後のヒューマンエラーの防止への取り組みに繋がるものだと思いました。
声に出すことにおいては、相手からの指示を復唱することが重要であるだけでなく、相手からの指示に疑問がある場合は、その疑問を明確に伝えることが必要とのことでした。そのためには、日頃からものが言いやすい雰囲気であることが求められます。

講演では、海外の事例や、製造業や航空の業界での取り組み等が紹介されていました。医療安全のために、海外や他の業界の事例等まで視野を広げ、既存の概念に捕らわれない取り組みも必要であると思いました。また、ヒューマンエラーを防止する取り組みは、当たり前と思われていることから、コツコツと取組んでいく地道な努力が必要であると改めて思いました。

※当日資料及びアンケート結果、参加機関については横浜市ホームページ内に掲載してありますので、ご参照ください。
http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/soudan-madoguchi/kenshukai.html